File No.049

父の介護で作ったもの(1)
ソファ用肘掛け置きテーブル



 昨年、父が退院してから、我が家のリビングにもともとあったブラジル製一人用ソファを父専用にした。昼食と夕食は食卓に移動してとるが、朝食だけはソファに座ったままでもとれるように「肘掛け置きテーブル」を自作した。これはソファの肘掛け部分に載せるだけでテーブルに早変わりする。

 朝、父をソファに座らせ、肘掛け置きテーブルを肘掛けにセットすれば、朝食を食べられる。朝食が終われば、テーブルを取り外すだけ。一時、キャスター付きでベッドでも食事ができる、横から見たら「コ」の字状の構造をした介護用テーブルをレンタルしていたが、父の場合はベッドで食事をとるほどの状態ではない。そこでソファで食事ができるようにと私が考えた。

 このアイデアは我ながらよかったと思うのだが、訪問リハビリの理学療法士から、ソファの背もたれが斜め過ぎてリハビリ上は好ましくないとの指摘を受けた。やはり背もたれは垂直の方が正しい姿勢を維持する上では望ましいという。
 ソファは、その目的から当然リクライニング仕様(もたれる姿勢でくつろげる)になっているわけだが、これがよくないらしいので、垂直にもなる一方で角度の微調整もできる、新たなソファ用背もたれを自作で追加したのだが、そうすると肘掛け置きテーブルが腹につかえて、所定の位置で固定できなくなってしまった。
 
 さて、どうしよう。腹につかえないようにテーブルを前に出して固定するためには、たとえばテーブルの一方を肘掛けに置き、反対側に脚をふたつ取り付ければ、とりあえず用は足りるはずだ。しかし初代・肘掛け置きテーブルが天板のみで片付けやすいのに対して、脚を折りたためるようにしたとしても、それでも取り付けや片付け作業が鬱陶しい。しかも2脚で安定する構造にするのも難しそうだ。脚なんか使わず、もっとシンブルにしたい。

 で、いろいろ考えて最終的にたどり着いた方法が以下の通りである。この方法なら、テーブルの取り付けや片付けの度に脚をのばしたり折りたたんだりする必要もなく、初代・肘掛け置きテーブルと同じように天板のみの状態に近く、しかも腹がつかえない位置で固定できる。こんな高度なアイデアを思いつくのは、世の中広しといえども、さすがにボクちんくらいだろうな(笑)。



初代・肘掛け置きテーブル。肘掛けを利用して、そこに置くだけでテーブルに早変わり。でも垂直にできる自作・背もたれを追加したせいで、腹につかえるようになってしまった



ちなみに裏側は、こんな構造。縦に2本取り付けた角材は肘掛けの内寸に合わせてあり、これが肘掛けの間に入ることで軽く固定できる。ゴム足は高さを合わせることと肘掛けに傷がつきにくくするためのもの。またゴムなのでセッティングしたときの感触もよくなる。表面は透明ニス仕上げ。



改良・肘掛け置きテーブル。初代を改造したのではなく、新たに作り直した。大小ふたつのゴム足が肘掛けのカーブに合わせて、ふたつの支点となり、プラ板を介したストッパーが肘掛けの下側から支える支点となる。つまり3つの支点があればテーブルは固定できるというわけ。取り付ける際は、一方のストッパーを先に肘掛けの窪み部分にかけて、もう一方のプラ板を外側に反らすようにしながら肘掛けに降ろしプラ板から手を離すと、ストッパーが窪みに入って固定される。そんな方法でしっかり固定できるのかと思われるかもしれないが、ガタは一切なく、ほぼ完璧に固定できる。テーブルの半分が宙に浮いているにも関わらず、むしろ初代よりもしっかりと固定できる



改良・肘掛け置きテーブルの裏側はこんな感じ。大小のゴム足計4個。白いのはプラ板。プラ板にしたのは、反らすことができる半面、木製の板と違って復元性もいいから。そのプラ板についているのがストッパーだ。



ストッパーは、円筒形で肘掛けの形状にぴったり合わせて固定できる位置に取り付けてある。これによりガタは一切生じない



 













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