Nature
 File No.0053
防犯カメラシステムの構築


 …というと、大仰に聞こえるが、要は複数のネットワークカメラを自宅敷地内に設置して、有線&無線LANでつなぎ、一括してモニターと管理ができるように作業や工事をしたよ、という話。ここでは、それをとりあえず防犯カメラシステムと呼ぶことにする。

 秦野で自宅の安否と宅配ボックスの容量の確認に使っていたネットワークカメラ3台を実家に持ち帰って屋外に設置して使い続けているのだが、その後、AC電源からUSBに変換する付属のアダプターが3台中2台でダメになってしまって交換したものの、チャイナ製というイメージとは裏腹に本体は、すでに6年目を迎えたにも関わらずほぼ問題なく機能している。とにかく実家でも高い有用性に気づいたので、その後もネットワークカメラを買い足して、今では屋内外に計18台を設置(屋外15台+屋内3台)。とにかくカメラがあるのとないのでは雲泥の違いがあるのだ。もしカメラがなかったら確実に気づかなかったであろう、予想もしない意外なことが手に取るように把握できるようになったと私は感じている。

 かつては防犯カメラを数台設置するだけでも、結構な費用がかかっていたが、今では格安のネットワークカメラが登場し、PCとwifiがあれば、比較的簡単に設置と運用(撮影+監視+PTZ等の操作+録画)ができるようになった。しかもカメラ自体も数年前と比較しても進歩しており、今やAIモーションセンサーで人物を自動で追尾撮影してくれる。自宅PCだけでなくスマホでも見れるので、遠く離れた場所から家の様子を確認することもできる。音声のやり取りもできるので、電話のような使い方も可能だ。夜間は赤外線モードに自動で切り替わるので、カラーからモノクロに変わるものの監視は可能だ。その便利さは圧倒的である。

 カメラは一部を除いて静止画と動画を自動撮影。静止画はサーバーに、動画は仕事部屋にある外付HDDに保管するように設定してある。毎日、カメラは自動で記録し続けており、そのすべてに目を通すことはもちろんないのだが、必要に応じてあとから確認することができる。静止画は時に1日当たり数千カットにも及び、ほとんどは風が吹いて木の枝が揺れた程度のことでモーションセンサーが反応した結果であり、フォルダ上で写っているものの意味を見分けるのも限界がある。一方の動画はフォルダ内の動画ファイル一覧でファイルサイズの大きいものだけは、なるべく目を通すようにしている。サイズが大きいということは、録画時間が長いことを意味し、同時にそれは「何かある」ことになるわけだ。それでもほとんどは静止画と同様にモーションセンサーの過剰反応ということが圧倒的なのだが、過去にはそうじゃなかった例も何度か経験している。

 泥棒は本物の防犯カメラとダミーカメラを見分けているそうだから監視と録画ができる本物カメラがあるだけで通常は忌避すると思われるが、念のため、うちでは「防犯カメラ常時録画中」とステッカーを各所に掲示してある。従って防犯という意味では、ネットワークカメラがひと役買ってくれているのは間違いなさそうである。

 ただ、いうまでもなく、ネットワークカメラは送受信に主にwifiを利用しており、wifiエリアに置くことが前提となり、エリア外にカメラを置くとしたら有線で結ぶしかない。無線LANルーターに直接接続できるカメラは2、3台程度なので、あとは3台の中継器で接続。中継器を介しても無理な位置にあるカメラ、もしくは接続はできるものの安定性に少しでも欠ける場合はすべて有線にした。有線ということはLANケーブルをのばす工事が必要になり、これは結構手間がかかった。またwifi接続ができても電源は別途確保する必要があり、その配線工事は必須ということになる。

 ネットワークカメラは専用アプリでしか見れないものも多いが、私は、CamHiやCamHiproのアプリ、P2PClientのソフトが利用できる製品を選んで買い足してきた。アプリやソフトが共通して使えるということは、ひとつのアプリやソフトでまとめてカメラ画像を確認できることを意味する。屋内用のカメラひとつだけ、セキュリティーが高い機種を選んだので、これだけは専用アプリとソフトでしか見れないが、あとの16台はパソコン上のP2PClientの一画面でまとめて見ることができる。P2PClientは中国人IT技術者が作ったソフトだが、日本語表示だし機能的にも十分。まあ、カメラもチャイナ製で、セキュリティーという意味で若干思うところはあるものの、どちらもレベルは高く、かなり使えるのは間違いない。しかも私が選んだ中国のカメラメーカーはアフターサービスも素晴らしい。メールで日本語で質問すると、割と早くきちんとした回答が、まったく違和感のない日本語で届く。


 

テラスの天井に取り付けたカメラ。ACアダプターなどがあるため、それを収納するボックスがどうしても必要になる。ところでこのカメラは電源の確保にひと苦労した。レンガや砂利を敷いた一角を掘り返して電源コードを埋設して、なんとかカメラまでのばした。



↑玄関のカメラ。この機種はPoE給電(LANケーブル経由で給電ができる)が可能なタイプだが、PoEは利用せずに通常の有線LANと電源ケーブルで接続した。金属筐体にズーム付き。500万画素なので画像は鮮明。ただ、モーションセンサーの反応はイマイチ。誰もいないのにやたら反応するかと思えば、人が画角内に入っても反応が鈍かったり追跡も不十分だったり。そういう不満がないこともないが、それでもかなり便利だ。


↓菜園に設置したカメラ3台のうちの1台。支柱に屋根付き。カメラ自体は防水なので、この程度でも問題はない。背後にプラスチックボックスがあり、その中で電源とLANに接続してある。ついでに引き出せば利用できる電源コネクターも別途用意しておいた。電動草刈り機を使いたい時に電源をとれる。




↑ルーター本体は二階の仕事部屋にあり、そこから20mのLANケーブルをpf管に収納して家の西側にのばした。赤矢印がバーゴラ下に続くpf管。


↓pf管はバーゴラ下で必要に応じて分岐させる。左に見えているボックスは中継用。下に内部写真あり。


↑屋外に設置したカメラには、ほとんどLANケーブルをのばした。無線でもなんとかなる距離だが、無線では時々オフラインになることがあった。ところが有線にしてからというもの、切れることはほぼなく安定した。庭にcd管を埋設しているところ。


↓ルート上にコンクリート段差があれば、下にトンネルを作って通す。ここはトンネルがふたつも続いた。



↑複数の屋外カメラに向けて、それぞれ有線工事をするのも非効率なので、途中のカメラボックス(内部写真は下にあり)を中継点とした。つまり、ここまで3本のLANケーブルと1本の電源ケーブルをあらかじめのばしておき、うち1本のLANケーブルを中継点のカメラに利用。残り2本はのちにここからのばして奥のカメラ2台に接続した。そのためpf管が3連になっている。電源は単純に分岐させればよいが、LANケーブルはスイッチングハブがないと分岐できないので、中継ボックス内のスイッチングハブからそのままLANケーブル3本をのばすことで対応した。


↓菜園カメラの支柱設置作業。支柱の根元には台風などでも倒れないようにするための横棒3本を取り付けた。支柱も横棒もすべて木製だが、防腐塗料二度塗り+油性ペンキの上塗りで、かなりの腐食耐性が生まれる。オレンジ色のチューブはcd管。ここのカメラが最遠で二階のルーターからは計50m、中継ボックスからも計30mものLANケーブルでつながっている。






↑西側バーゴラ下に設置した中継ボックス。下の黒い管はcd管に黒い絶縁テープを巻いたもの。cd管にはLANケーブルと電源ケーブルが入っていて、それぞれの屋外カメラまでのびている。


↓中継ボックス内。5口の電源タップ、8口と5口のスイッチングハブ2基、スマートプラグが入っている。稀にカメラがフリーズしたら、スマートプラグで一旦、電源をオン→オフ→オンにすれば復活する。スマートプラグなので、どこにいてもスマホで操作が可能だ。








↑屋外カメラはほとんど有線接続しているが、スマホにも有用なので、最近、屋外のバーゴラ下に無線LAN中継器をひとつ置いた。無線LAN中継器とはいえ、機器自体は有線接続しているのでアクセスポイントとして機能させている。プラスチックボックスに収納。これにより万一、各カメラの有線接続に不具合が生じても無線接続にすぐに切り替えられる。



←中継点として利用するカメラボックス内。端子台で電源を分岐させている。


有線LAN接続した屋外防犯カメラ配線図























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