File No.0064

台風リスク回避機能付き
防虫ネットハウス




 野菜にはどうしても虫が付く。農薬を撒けば、当然防げるが、そんなことはなるべくしたくないので、対策といえば野菜を防虫ネットで覆うくらいしかない。とはいえ特定の野菜栽培の度にいちいちネットをかけるよりも、複数年に渡って、いくつかの種類の野菜で利用できるハウス状にしておく方がいい。ただ、現実はそう簡単じゃない。実は3年前に竹を支柱にした防虫ネットハウスを簡易的に作って効果を検証してみた。ナス、ピーマン、オクラ、トウモロコシなどを栽培してみたのだが、風は通る「防虫ネット」とはいえ、野菜によって合う合わないがあるようで、あくまでうちの場合だが、一昨年はナスやピーマンは湿気がこもりやすいせいか、ダニが発生して、ナスは色も悪く、あまりいい結果が得られなかった。一方、オクラは一昨年も昨年も好結果だった。まだ試していないが、外では穴だらけになるシソ、バジル、キャベツ、白菜、小松菜等の葉物はハウスで栽培すれば、効果が期待できそうな気がする。あと人工受粉の必要はあるが、イチゴも好都合だろうと予想する。

 その初代・防虫ネットハウスだが、簡易的に作ったために昨年から支柱の竹が腐って折れたり、ネットどうしを縫った糸が劣化して切れたり(そのため最近は耐候性の糸で縫うようにしている)、全体的にグダグダになってきたので、すべていちから作り直すことにした。

 実は初代ハウスを作る際も懸念したことがある。それは台風だ。この3年間は、幸運にも広島は台風の直撃もなく、簡易版ハウスであったにも関わらず、強風で被害が及ぶことはなかったが、今後もそうとは限らない。やはり台風が直撃しそうな時に、被害を受けない「しくみ」があった方がよいだろうと思った。いくら風は通すネットとはいえ、台風のような強風が襲えば、確実に風圧を受けて破れたり、飛ばされたりする可能性はある。で、考えたのが以下の方法だが、まずはハウスの基本となる支柱を立てるところから始めた。

 元々の地面が完全に水平ではないところに、こうしたハウスをある程度きっちり組み立てるのは少々コツがいる。初代ハウスはロクに整地もせずに適当に竹を地面に打ち込んでハウスにしたが、今回はしっかりしたハウスにするため、手間も倍増した。家とも平行に並び、さらに支柱や梁も垂直・水平になっている方が望ましい。そこで長巻尺で正確に計測し、水平器で確認しながら四隅に杭を垂直に打ち込む。その杭に添えて支柱となる角材を固定。この段階でアマゾンで格安だったチャイナ製レーザー墨出し器を使って、角材に水平の基準線を引く。この線を元に上端と下端のラインを決めれば、少なくとも水平で直角の、きれいなハウスにすることが可能となる。

 レーザー墨出し器は、今回のようなハウスを作る際には便利。ハウスの中心付近に置いてスイッチを入れると、本体が多少傾いていても水平になるように修正して四方にレーザーを放出してくれる。そのレーザーが支柱の角材に当たっているラインに線を引けば、そのまま基準線になる。レーザー墨出し器がなければ、この作業はかなりめんどうだ。

 ハウスの高さは、オクラが生長しても天井につかえない2.3mに設定。ただこの寸法の防虫ネットはないので、幅1.3mのネットを半分に切って、ハウスの下部を写真のようにして加工してみた。この下部のネットは固定したままだが、これくらいの高さなら台風の強風が吹き付けても、それほど大きな問題にはならないだろうという判断である。この上に幅1.8mのネットを設置するわけだが、この上部ネットを支柱どうしの間の1区画ごとに上に巻き上げることができるようにした。支柱とネットを固定する押さえプレートは、以下の写真のようにネジを緩めて上げるだけで簡単に外れる。次にネット下部の角材も外し、くるくるとネットを巻いて、上で紐でくくる。同様にほかの区画のネットも外して上で固定。最後に天井のネットも後ろでまとめて紐でくくれば、あとはほぼハウスの枠組だけになるので、台風の風圧を受けても、被害は受けにくいだろう、というわけだ。また冬期に天井に雪が積もれば、倒壊する可能性もあるので、それを防ぐこともできる。

 ところで防虫ネットは、ハサミで切るよりも半田ゴテを使うと切りやすいし、同時に縁も溶けるので、完全ではないがネットがほつれるのを防ぐ効果がある。ハトメを止める穴も開けやすい。


防虫ネットハウス注意点
 同じものを作ろうと考える人がいるかいないかはわからないが、念のため2点ほど注意点を書いておきたい。まずひとつ。防虫ネットでハウスを作って野菜を栽培すれば、もう虫食い被害は発生しないかというと、必ずしも断言できない。というのも、うちの場合もハウスを作ったあとに虫喰い被害が発生した。その原因は判然としないが、目につかない小さな虫や卵が畑のどこかに残ったままだった可能性が考えられる。その虫や孵った幼虫によって虫食いが発生したのかもしれない。完全に虫を排除するのは難しい。ドアの開け閉めの際に入ることもあり得る。とにかくよく見て、見つけ次第に駆除することが肝心。私の場合は市販されている捕虫用の粘着シートを使って駆除している。一旦、ほぼ虫を排除してしまえば、あとは比較的虫食い被害ゼロでハウスを運用できる。

 もうひとつ。防虫ネット縁に取り付けたハトメだが、ネット一枚にハトメを取り付けただけでは、やや弱く、風圧によって次第にネットがほつれて外れかけることがあった。なので縁に短冊状に切ったネットを二つ折りにして重ねて、3枚重ねでハトメを固定するとか、なんらかの補強をしておく方がよさそうだ。



部材の基本は角材と農業用のイボ竹。支柱最上部にはイボ竹を通す穴を開けて、イボ竹で天井側の梁とする。なぜイボ竹かというと、角材よりも防虫ネットを固定しやすいからだ。こうしたネット類をイボ竹に固定できる「菜園パッカー」やイボ竹どうしをつなぐことができる継手も販売されており、それらを利用すると便利。なお、最下部には板材を使用して、ハウス内部の地面はその板材の高さ近くまで土を入れ、土と板材でネット最下端を固定する。当然、杭や角材などは防腐塗料を塗った。横に張ってあるのは電気柵ケーブル。中は周囲だけ防草シートを敷いてある。先代・防虫ネットハウスの時に作ったドアを流用した。格子部分は電気柵導入前の防獣対策で追加したもの。


■防虫ネットを外して巻き上げるしくみ

防虫ネットと支柱を固定する押さえプレートは4ヶ所でネジ止めされている。
ドライバーでそのネジを緩める。
押さえプレート全体を上げれば、ネジが下の大きな穴の位置に移動する。
こうしてフリーになった押さえプレートを1本ずつ外していく。ネットのネジ位置にある穴はアルミ製のハトメで補強してある。

次に防虫ネット下部に取り付けた角材を固定する木ネジを外す。防虫ネットと角材はタッカー(大型のホッチキスみたいな工具)で固定してあるので、そのまま角材を持って、くるくると上に巻いていけばいい。この写真は想定通りにうまくいくか、最初に設置した区画で検証した際のものなので、ほかの区画にはネット未設置。


巻きあがったら紐で固定する。ほかの区画のネットも天井のネットも同様に巻いて固定すれば枠組だけになるので、台風の被害を受けにくいと思われる。



2024年8月末。台風10号が迫ってきそうなので、台風リスクに初対応。側面の各区画のネットと天井のネットを丸めて紐でくくった。この作業の所要時間は約40分、元に戻すのは約1時間だった。

NEW

2025年夏。ハウス内に植えたオクラの様子。今年は若干、連作障害が出て背は低いが、虫食いがまったくない、きれいな葉で成長中。いくら防虫ネットで囲っていても、どうしても虫が侵入したり、元々土の中にあった卵から孵ったりもするが、とにかく見つけ次第、捕殺するようにすれば、農薬も使わずに、少なくとも外にそのまま植えるよりも虫食い被害を大きく低減できる。そういう意味でハウスは利用価値がある。















 

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