一刀両断Q&A(2)
〜プラン選択と仕事量〜


                     解答例と解説


解答例1

「プラン1だと急坂を登らなければならないので、プラン2の方が体力は少なくてすむ」

不正解です。本当のことをいって大変申し訳ないですが、あなたは単純過ぎます。

 不合格!
ハンコなしです
   

解答例2

「プラン1でもプラン2でも要する体力は同じ」

正解です。あなたは緻密に物事を考えられる素晴らしい方です。




解説

 つづら折りの急坂が登路となってしまうプラン1。一見、この区間で大きな体力が必要となりそうですが、このC岳のように同一地点が起点と終点となる周遊コースという前提であれば、プラン1とプラン2で必要となる総体力量はまったく同じです。

 物理で習った「仕事」を思い出しましょう。物理学でいう「仕事」とは、「力×距離」で定義されます。荷物が重いほど、移動する水平距離と標高差が大きいほど、仕事に要するエネルギーもより多く必要になります。しかし、周遊コースであれば、途中、どんなにアップダウンがあろうとなかろうと、そのトータルで仕事の量を比較すると、プラン1もプラン2も同じことになります。

 ただ、これも個人の好みという視点から見れば変わってきます。きつい登りが分散されるので気分的に楽だとプラン2を選ぶ人もいれば、一方、それでは下りの急坂で足を痛めるリスクが高まるので、プラン1を選ぶ人もいるでしょう。あるいはBコースは樹林帯で見晴らしがきかないが、Aコースの下り方向前方には絶景が広がるので、登りよりも下りに使った方がいい…といったこともあるかもしれません。さらに途中に雪渓や鎖場があると、これも条件次第ですが、登りよりも下りの方が圧倒的に早くなる可能性も考えられます(従って問題ページで、このようなややこしくなる条件を除外したおいたわけです)。




「仕事=力×距離」ということを頭に置いて、上の2図を比較すると、わかりやすいかもしれません。なだらかな登りの上図も、途中、急登がある下図も、水平距離(赤横線)と標高差(赤縦線)のトータルは同じなので、従って仕事量(必要となる体力)も同じになります。

 この図をC岳の周遊コースにも当てはめてみましょう。まず水平距離(赤横線)だけ抽出して比較すると、いうまでもなく右回りでも左回りでも要する体力は同じです。平らな場所にある陸上トラックを右回りしても左回りしても要する体力が同じことを考えれば、すぐわかりますよね。次に標高差(赤縦線)だけ抽出して比較すると、Aコースの登山口と山頂間の標高差とBコースのそれは、まったく同じということもご理解頂けると思います。従って全体を通して見ても、右回りでも左回りでも要する体力は同じことになります。

 異なる2つのコースを単独で比較すれば、この限りではありませんが、この問題では、周遊コースを右回りと左回り、どちらでまわるかという話ですから、トータルで要する体力は変わりません。




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