一刀両断Q&A(1)
〜コースタイムと体力〜



                     解答例と解説


解答例1

「コースタイムの早い方が、体力があるに決まってる」

不正解です。本当のことをいって大変申し訳ないですが、あなたは単純過ぎます。

 不合格!
ハンコなしです
   

解答例2

「これだけでは判断できない」

正解です。あなたは緻密に物事を考えられる素晴らしい方です。




解説

 コースタイムというのは、体力だけではなく、登山当日の天候、気温、湿度、ご本人が故意にのんびりしたい場合など、さまざまな条件にも影響されます。仮にAさんとBさんが、同じ日の同じ時間にスタートした結果だとしても、Aさんの荷物の方が重ければ、コースタイムがBさんよりも遅れるのは当然のことで、この結果だけ見てBさんの方が体力があるとはいえません。荷物の重さがきっちり同じだったとしても、当日の体調、ご本人の体重の違いもコースタイムに影響します。Aさんは、前夜、熟睡できず疲労が貯まっていたのかもしれません。また「体重も含めての体力」という見方もあるかもしれませんが、例えば体重60キロの人と体重80キロの人が、同じ重さの荷物を背負って登った時にコースタイムが同じだった場合、体重80キロの人の方が、体重60キロの人よりも心肺機能は高いという見方もできます。なぜなら心臓と肺、足腰に負荷を及ぼす自らの体重も含めた総重量が体重差20キロ分も重いのにコースタイムが同じということは、それだけ、これらの機能が高い結果であるとみなせるからです。

 コースタイムの早い方が体力がある。それは一見、正しいように聞こえますが、ものすごく大雑派な見方でしかないことをご理解頂けるのではないでしょうか? みなさんのまわりにも、こんな大雑把な見方しかできないのに、いっぱしの山のエキスパートを気取っている人っていませんか。そういう人には、上記のような指摘をして大いに困らせてやりましょう(笑)。


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