分布域から離れた長野県内で見かけた
ミミコウモリ
キク科
Parasenecio kamtschaticus
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以下記事訂正追加
このページをアップ後。以下写真の葉柄基部に本種の特徴である「耳」がないことに今さらながら気づいた。普段、取材で撮影した写真は帰宅後に同定して、写真ファイル名に和名を入れて植物写真フォルダに整理しておくのだが、そこにミミコウモリとあったので、その前提のまま使用した。取材時にほかの株で「耳」があるのを確認してミミコウモリとしたのか、そうではないのか、もう十数年前のことなので覚えてもいない。なんらかのミミコウモリの根拠があったからではないかと思うが、少なくとも写真の株には「耳」が写っていないのは事実。とりあえずこのままにしておくが、その前提でご覧頂きたい。いや~我ながらボケまくってます。すみません。
キク科コウモリソウ属の多年草。漢字で書けば「耳蝙蝠」で、葉柄基部の形が耳状であることに因む。北海道と本州東北地方北部の針葉樹林内に生え、茎はやや「くの字」状になって高さ1メートル前後に成長する。葉は長さ7~15センチの腎形で、縁には不揃いの欠刻があり、いくつかの主要脈の先が鋭く尾状になる。両面は無毛だが、裏面脈上にはちぢれ毛が生える。また葉柄の基部は茎を抱く。8月に筒状花からなる小頭花を総状円錐花序に多数つける。頭花は3~6個の小花からなり、花冠の長さは8~9ミリ。そう果は白色の冠毛が付き、どちらも5ミリほど。葉腋にムカゴができるものは、北海道に分布する変種のコモチミミコウモリ(var. bulbifera )。
コウモリソウ属は、コメツガやウラジロモミといった少し薄暗い針葉樹林下に生えることが多い。しかも花はいずれも地味で、本種のそれも目立たず、分布域も限られる。そんなせいもあってか、掲載されている図鑑は意外に少ない。手元の掲載されている図鑑の解説文を読むと、本州の分布について「東北地方」とか「本州北部」としているほか、Wikipediaでも「東北地方の青森県と秋田県」と載っているだけだ。図鑑に載っている分布域なんて、あくまで大雑把な範囲に過ぎないので、この域外にあったとしても不思議ではないが、私は2007年に長野県南相木村の御座山(おぐらやま)でミミコウモリを撮影している。
『長野県植物誌』(信濃毎日新聞社)で確認すると、未確認種扱いながらも、種名は掲載されていた。つまり私以外にも見ている人がいることになる。間違いなく自生はしているが、少なくとも植物誌を制作する段階では専門家による確認まではされていなかったのだろう。これまで自生すると思われていなかった場所で新たな自生地が確認されることって、他種でも割とあるが、本種の場合は東北地方から離れた長野県だけに隔離分布しているのかもしれない。

御座山で撮影したミミコウモリ。コウモリソウ属の花は地味だが、その分、葉の形態は多様で、種分化が進んでおり、葉の形と分布域で同定は比較的容易。
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