Nature

全国には、樹齢数百年にも及ぶ数多くの巨樹があります。長い年月を生き抜いてきた力強さとその存在感には、畏敬の念を抱かずにはいられません。ここでは、私が取材した巨樹の中から、一部を紹介します。巨樹については近年取材をはじめたばかりのため、地域が偏っておりますが、今後、さらに追加していきます。また現在は掲載順はバラバラですが、いずれ都道府県単位で整理します。→新規情報トップへ

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湿原
にっぽん全国
めぐり

異様なその姿は一度目にすると、しばらく目が離せない
十二本ヤス
青森県五所川原市

 私は仕事のために東北地方にある相当数の巨樹を取材したが、その中で最も印象に残った木のひとつが、この十二本ヤス。中ほどから12本の枝が分かれ、そのまままっすぐ天に向けてのびている。非常に個性的かつ異様な姿だが、樹勢は旺盛で、ゴツゴツした幹は生命力に溢れている。金木町から山の方に林道を走ると、入口がある。鳥居をくぐって徒歩で数分。


樹種/ヒノキアスナロ
幹周り/7m10cm
推定樹齢/500年
指定/市の天然記念物

重量感ある姿はさすが
元日本一のクリ
秋田県仙北市

 抱返り渓谷のある場所から、さらに急な斜面を登ること約50分。ようやく前方にその姿を現した。どっしりと斜面に根をはる姿は迫力満点だ。山形県の「大井沢のクリ」の方が幹周りが太く、残念ながら現在では全国第2位。この一帯には巨樹が多く、次項の「日本一のブナ」や、渓谷対岸に位置する小影山にある元日本一のブナ(現・日本第5位)も近い。このエリアには、まだ未発見の巨樹があるのではないか。


樹種/クリ
幹周り/8m10cm
推定樹齢/200〜300年
指定/林野庁「森の巨人たち100選」

コブが多数ある幹は、風雪に耐え抜いてきた歴史を感じさせる
日本一のブナ
秋田県仙北市

 前項「元日本一のクリ」と直線距離で1キロちょっとしか離れていない場所にあるが、アプローチルートは異なる。林道から踏跡を50分下った場所にある。苔むし、ゴツゴツした幹。日本一のブナの貫禄充分である。取材当日はあまり芳しくない天気で、到着してすぐに雨が降り出す。まるで写真に撮られたくないとブナが拒否しているよう。何とか雨が小降りになった間隙を縫って撮影した。


樹種/ブナ
幹周り/8m60cm
推定樹齢/200〜300年
指定/林野庁「森の巨人たち100選」

山麓の国道あたりからもその姿が確認できる
和賀仙人姥杉
岩手県北上市

 北上市の仙人峠に立つスギ巨樹。秋田県横手市へ抜ける国道107号。湯田町へ入る手前、日本重化学工業の入口を通り、奥へ進むと駐車場があり、ここから徒歩で50分。つづら折りの峠道が続くが、道自体は明瞭で、迷うことはない。やがて峠が近づくとその姿を現す。


樹種/スギ
幹周り/11m50cm
推定樹齢/900年
指定/林野庁「森の巨人たち100選」

母子鬼権現カツラとも呼ばれている
女甑山の大カツラ
めこしきやまのおおかつら
山形県真室川町

 秋田県との県境にまたがる女甑山にあるカツラ巨樹。マタギが崇めていた神木で、近くには仏陀木や翁木と呼ばれるカツラ巨樹がほかに3本もある。林道を6キロ奥へ進み、終点から徒歩20分。見えてくる順序は仏陀木→女甑山の大カツラ→翁木→無名のカツラ巨樹の順。道標の整備は不完全なので、道に迷わないように注意。


樹種/カツラ
幹周り/13m40cm
推定樹齢/300年
指定/林野庁「森の巨人たち100選」

山の斜面に枝を広げる姿には圧倒される
権現山の大カツラ
山形県最上町

 以前は案内人なしに訪問するのは不可能だったが、登山道が整備され訪問しやすくなった。ただ斜面をほとんど直登する道なので、足周りはしっかり準備したい。単幹のカツラでは日本一。巨樹全体でも全国第8位。私が訪れたときは、ガスがかかって幻想的な雰囲気だった。


樹種/カツラ
幹周り/20m
推定樹齢/数百年

2本に分かれた巨大なカラマツ
櫛形山のカラマツ
くしがたやまのからまつ
山梨県南アルプス市

 アヤメの群生地として知られる櫛形山にあるカラマツの巨木。形状から見ると、もともと2本だったものが合体してしまったのだろうか。それにしても根元のがっしりとした太さには目を見張る。登山道を2時間も歩かなければならないせいか、巨樹関係のどの本にも、なぜかこの木は載っていない。


樹種/カラマツ
幹周り/8.1m
推定樹齢/300年

満開時のその姿は見応え充分
長興山の
シダレザクラ
ちょうこうさんのしだれざくら
神奈川県小田原市

 長興山とは山の名前ではなく、寛文年間に建てられた大寺院・紹太寺の山号。寺は焼失してしまい、子院の青雲院が残るだけだが、創建時に植えられたと伝えられるシダレザクラだけは、毎年春には満開となって昔日の寺の面影を伝えている。見ごろは3月下旬〜4月上旬。箱根登山鉄道入生田駅から徒歩20分。


樹種/シダレザクラ
幹周り/4.7m
推定樹齢/320年以上
指定/市の天然記念物

次第に樹勢は衰えているという。柵の中には入らないようにしたい
玉若酢命神社の
八百杉
たまわかすのみことじんじゃのやおすぎ
島根県隠岐の島町

 隠岐の島後(どうご)、西郷港近くにある玉若酢命神社境内に立つ島根県最大のスギ。枝の四方を木の棒で支えられている。八百比丘尼(やおびくに)が植えたとされ、また木の生長によって根元で寝ていたヘビが根に包み込まれたという伝説もある。国の天然記念物。


樹種/スギ
幹周り/11m
推定樹齢/1000年(2000年という説も)
指定/国の天然記念物



かぶら矢に似るのでこの名前がついたともいわれる
かぶら杉
島根県隠岐の島町

 前項と同じく隠岐の島後にある巨木。西郷港から車で中村地区方面に向かう途中、車道わきに立つ。地上1.5mのところで、6本の幹に分かれ天に向かってすらりとのびている。以前は12本の幹があったそうだが、枯れて少なくなったという。県の天然記念物。


樹種/スギ
幹周り/8m
推定樹齢/600年
指定/県の天然記念物

毎年4月23日には祭礼も行われる
岩倉の乳房杉
いわくらのちちすぎ
島根県隠岐の島町

 これも隠岐の島後にある。西郷港から五箇方面に向かい銚子ダムで右折。つづら折の狭い舗装車道を登って行くと、やがて緩く下るようになり、右手の斜面に姿を見せる。名前の通り、乳房状の根がいくつも下に向かってのびており、実に異様な姿。気根はイチョウでは珍しくないが、スギでは極めて珍しい。岩倉神社の御神体。県の天然記念物。


樹種/スギ
幹周り/9.6m
推定樹齢/800年
指定/県の天然記念物

房総半島の古刹にそびえる古樹
清澄の大杉
きよすみのおおすぎ
千葉県鴨川市

 日蓮上人が日蓮宗を開いた寺として有名な清澄寺(せいちょうじ)仁王門前に立つ。「千年杉」とも呼ばれるが、推定樹齢は850年ほどとされる。しかし高さは47mもあり、下に立つとその大きさに圧倒される。


樹種/スギ
幹周り/14.2m
推定樹齢/850年
指定/国の天然記念物

かつて集中豪雨の時、この木が土砂崩れをくい止めたそうだ
中川の箒杉
なかがわのほうきすぎ
神奈川県山北町

 丹沢湖からさらに西丹沢の山に向けて車を走らせると、中川温泉の先で前方に大きなスギが見えてくる。これは「箒杉」と呼ばれ、推定樹齢2000年で、国の天然記念物にも指定。県道のすぐ上にあり、車利用なら訪問は容易。


樹種/スギ
幹周り/12m
推定樹齢/2000年
指定/国の天然記念物

実に威風堂々とした立派なスギだ
オブ山の大杉
秋田県大仙市

 和賀山塊の川口渓谷斜面に生育。奥羽山荘から、さらに未舗装の林道を奥へ入ると、案内板が立つ駐車スペースがある。車はそこに置き、渓谷へ下って川を渡り(簡単な木の橋が架かっている)、対岸の斜面を登って行く。道は明瞭。入口から徒歩30分ほど。林野庁選定の「森の巨人たち100選」にも選定。ヤブコギしないと行けないが、近くの斜面にも全国第4位のミズナラ巨木がある。


樹種/スギ
幹周り/12.4m
推定樹齢/1200年以上
指定/林野庁「森の巨人たち100選」

訪問するのは実に大変。見ようなんて思わない方がいい。
朝日の大クロベ
山形県鶴岡市

 朝日連峰の山中にある国内有数のクロベ巨樹。山麓の朝日鉱泉から徒歩で往復5時間半もかかる上に、登山道からさらに踏み跡をたどる必要がある。付近にはほかにもクロベの巨樹が見られ、さらに大きなクロベがあるとのうわさもある。森の巨人たち100選では「上倉山のクロベ」と呼んでいるが、ここでは発見者の命名に従った。


樹種/クロベ
幹周り/9.3m
推定樹齢/200〜300年
指定/林野庁「森の巨人たち100選」

ここで紹介した東北地方の巨樹については、無明舎出版「東北の巨樹・巨木」に詳しく紹介してあります。この本の特徴は、実際に訪ねることを想定し、巨樹の位置をより把握しやすいようにさまざまな工夫をしたことです。最新の情報も満載。しかも、まだ市販の本やインターネットでも紹介されたことがない巨樹もあります。巨樹好きの方はぜひ巨樹探訪の参考にして下さい。詳しくはこちら

 





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