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学校の怖い話・不思議な話

 これまでに私が在籍していた学校を舞台にした怖い話、不思議な話を話そう。記憶が曖昧な部分もあるが、まずは小学校から。



[小学校の怖い話・不思議な話]
 私が通った小学校は、当時すでに創立100年を越えており、図書室には古い写真や資料などが保管されていた。3年生の時、そんな古い記念写真を担任が図書室から借りてきて見せてくれたことがあった。当時、クラスには非常に仲よしの女の子がふたりいたのだが、大正か昭和初期の集合写真に、そのふたりにそっくりな女の子が、しかも並んで写っていたので「○○と○○にそっくりな女の子がいる」と大騒ぎになった。偶然といえばそれまでなのだが、どちらも本人と見まがうほどよく似ていたので記憶に残っている。
 怖い話は、古い学校だったわりに古い校舎が少なかったせいか、あまり聞かなかった。それでも私が低学年の頃にはまだ木造の古い講堂も残っていて、ほとんど利用しない奥の部屋に入ってみると天井のはがれかけた板に長さ2メートルほどの縄がぶらさがっており、もっぱら生徒の間では「首つりの跡」ということになっていた。だが仮に首つりがあったとしても、そんなもの残したままにするはずもないからガセネタというのは間違いないだろうけど。
 あと4、5年生の頃、西側校舎の4階に夕方ひとりで行くと「青い手」が出る、なんて噂話があったくらいかな。



[中学校の怖い話・不思議な話]
 私の代で、まだ設立6年目という新しい学校だったせいか、前項「クラスで連続した悪い出来事」で紹介した話以外は皆無だった。もともとゴミ処分場跡地を整地して建てられた学校だったため、私が入学する少し前、地中からメタンガスが発生していることが問題となり、地元マスコミに取り上げられたりして随分騒ぎになった。結局どういう決着をみたのか正確には覚えていないが、市は全教室に大型の空気清浄機(自販機2台分の大きさ)を配備し、さらに特例処置として市立中学では異例のLL教室まで作って何とか沈静化させたようだ。今にして思えば、ダイオキシンならともかく地中からごく微量もれ出てくるメタンガス程度で過剰反応という気もする。山の中腹にあったので風通しがいい立地だったし、地表に出ればあっという間に拡散するのは間違いない。そのくらいのことで全教室に空気清浄機とは、そっちの方がよほど不思議な話ということになるかもしれない。実際、在籍中にその空気清浄機を作動させたのは、年に数えるくらいだった。



[高校の怖い話・不思議な話]
 私が通った高校は旧制一中からの歴史がある県内で一番古い公立高校で、当時も創立100年を越えていた。また市内中心部にあるため原爆でもかなりの死者を出し、校庭にその慰霊碑も建っていた。そんな学校だったが、怖い話というのは、少なくとも在籍中は一度も聞かなかった。私が入学した当時は戦後すぐに建てられた古い木造校舎もまだあったのだが。



[大学の怖い話・不思議な話]
 小学校〜大学のうち一番この手の話が多かったのが、実は大学。噂話の域を出ないものがほとんどだが、中には実際に身近に体験者がいた話もあった。


◆深夜のエレベーター
 同じ研究室の同級生が体験した話。研究室の別室みたいな部屋が別の研究棟にあり、そこで深夜ひとり残って卒論のための実験をしていると、フロアには自分しか残っていないはずなのに、エレベーターが1階から自分のいるフロアまで上がってきて「チン」とドアが開く音が聞こえた。だが、誰かが出てくる気配や廊下を歩いてくる音も聞こえない。そんなことが何度かあったという。そもそもそのフロアには彼しかいないのだから、そのフロアから誰かがエレベーターに乗ろうとしたはずもない。一方、深夜だから外から用があって人が来ることも普通は考えられない。警備の巡回の可能性はあるが、もしそうなら廊下を歩いてくる音が聞こえるはずだし、何より学生が残っている部屋には必ず立ち寄る。
 そのエレベーターは、実はシンドラー製でしたっていうオチなら笑い話としては完璧なのだが、十数年前のことだし建物はもっと古いから近年増えてきたというシンドラーエレベーターの可能性は低い。


◆開かずの教室があるという噂
 何号棟の何号教室では過去に学生が自殺したために今でも鍵がかけられ、使用されていないという噂もあった。名指しされた教室の番号も具体的で、本当かどうか友人と確かめに行くと普通にドアは開いたし、中を見ても何ら変わったところはなく、ごく普通の教室だった。噂話の信憑性なんてこんなものか。でも、ひょっとすると実は本当の話で、話が伝達していく過程で建物や教室の番号が間違って伝わってしまったという可能性も否定できないかも。でも、そうだったとしても話が真実かどうか確認のしようがないのだが。


◆ヤギ人間の話
 一番笑ったのが、キャンパス内にヤギ人間が出るという話。やはり実験のため深夜遅くまで残っていた学生がトイレに立ったところ、あとから誰か入ってきて隣の便器に立った。ふと見るとヤギと人間の合の子、ヤギ人間だったのでびっくりしたという話。実は動物と人間の合の子を遺伝子操作で作る研究が学内で密かに行われていて、その研究の結果ヤギ人間が生まれ某研究室で飼育されているとする尾ひれまでついていた。動物と人間の合の子を作るなんて技術的に可能とは到底思えないし、倫理上も問題ある研究を秘密裏に行ったとしても大学には何のメリットがないのはいうまでもない。もはや怖い話というよりも笑い話だ。


◆お札(おふだ)だらけの部屋がある話
 これも噂話の域を出ないが、当時キャンパス内にあった古い学生寮には「出るらしい」という話があった。開かずの教室と同じように、やはり自殺した学生の部屋は出るというので、今ではお札が部屋中にはり付けられ使用禁止になっているという話だった。


◆外部の自殺者が多いという噂
 私が在籍中も、別学科の学生の投身自殺があった。これは実話だ。同級生の中には落ちてくる様子を目撃した人もいた。私は目撃はしなかったが、直後に救急車がきてキャンパスが騒然となったのは知っている。できたばかりの実験棟で、実験の最中に急にノートに意味不明のことを書きなぐったかと思うと、廊下を走って窓から身を投げたという。そんなことがあったせいかどうかは知らないが、うちの大学にはなぜか大学に縁もゆかりもない遠方に住む人が、フラリとやってきて投身自殺をした例が過去に何件もある、という噂が流れた。



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議
な
話

山を舞台にした話じゃないけど、私がこれまでに体験したことや聞いた話をご紹介したい。