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Nature
 OMNI/旺文社 

 


 今ではまったく考えられないことだが、1980年代は一般向け科学雑誌全盛の時代だった。すでに本項で紹介した老舗の『科学朝日』と少し専門的な『サイエンス』のほかにも、『Quark』(講談社)や『Utan』(学習研究社)など、複数あった。念のために触れておくと、さらに歴史が古く内容も高度な『科学』(岩波書店)なんていう1色刷で、味も素っ気もない雑誌もあったけどね。
 とにかく科学雑誌が乱立しており、ちょうど大学生だった私としては、どの雑誌も最新号が出る度に必ず本屋でめくっては、興味深い話題があれば購入した。

 『OMNI』も、そんな科学雑誌のひとつで、よく買っていた。版元は、学習参考書や全国模擬試験で有名な旺文社。現在、「オムニ」というと、セブン&ワイの通販サイト「オムニ7」を思い浮かべる人が大半だろうが、私の中では科学雑誌『OMNI』の方が先に頭に浮かぶ。オムニとは、ラテン語で「すべて」という意味があり、おそらく「オムニ7」もそこから命名されたものだろうが、本誌でも誌名の由来を「すべてという意味」と説明している。

 表紙イラストは幻想的で美しく、本文も見開きや1ページ全面の写真やイラストが多数掲載される一方で、級数の大きなネーム(テキスト)は控えられ、余白も適度に使って、他誌と違って落ち着いたレイアウトデザインが独特な雰囲気を作り出していた。OMNI会員にも申し込んで、会員カードも所有していた(特にメリットはなかったが)。

 途中から購読するようになったので、私が持っている最も古い号は、1983年8月号(No.16号)。それ以降、約30号を所有していたが、バックナンバーはほとんどPDF化した。



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