私の本棚から
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Nature
 サイエンス/日本経済新聞社 

 


  


 『科学朝日』に比べれば、より専門的な雑誌だが、中学生から高校生くらいまで定期購読していた。ほとんどの記事は難しくて太刀打ちできなかったが、例えばNASAの木星探査の記事が載っていたり、あるいは本項下段に掲載したような付録が付いていて、それがおもしろかったりして、結局6年くらい購読を続けた。
 付録はここに掲載したもの以外にも何度かあったような気もするが、写真中央の付録は「日本の野生動物」がテーマ。手元にはすでにPDF化したものしかないが、本文を見ると、絶滅が迫っているとはいえ、当時はまだニホンカワウソもトキも「少数が生息している」ことになっていて、今にして見ると悲しい限りである。
 また写真右の付録は「紙の科学」。ユニークなのは、焼くと陶器になる陶紙という特殊な紙が綴じ込みになっている点だ。実際に焼いて陶器に変わるところは確かめていないが、そのまま実物の紙を付けてしまう企画は、当時としては新鮮だった。

 また私が大学生だった1988年9月号には、日本の海洋調査船・開洋丸が大西洋と太平洋上で2度に渡って目撃した未確認飛行物体の極めて詳細な記録が掲載されたことも印象深い。当時、雑誌の発売前から「あのサイエンス誌にUFOの記事が掲載されるらしい」という大学の友人からの情報を得て、発売日を待って大学生協で買い求めた。
 執筆者は、海洋水産資源開発センター所属のプロの調査員で農学博士。内容は、極めて客観的に事実だけが淡々と書かれており、さすがに科学者らしい緻密で正確な観察レベルの高さを感じさせ、それがいわゆるエイリアンクラフトかどうかはともかく、少なくとも自然現象も含めて人類の既知情報では説明がつかない、なんらかの特異な飛行物体か空中現象であることは疑いようがない…と感じた。こうした、ややもすれば「オカルト」という言葉でひとくくりにされかねない内容をサイエンス誌のようなマジメな科学雑誌が掲載することは画期的といってよく、目撃記録の掲載に踏み切ったサイエンス編集部の高い見識に今でも敬服せざるを得ない。



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