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Nature
 月刊天文ガイド/誠文堂新光社 




 中学2年生の時、天体望遠鏡がほしくなり毎号購読し始めた。写真は、最初に買った1976年9月号で、繰り返しページをめくっては天体望遠鏡の広告に目を通し、翌月、広島のデパートで意中の天体望遠鏡を買ってもらったことは、新鮮な記憶として残っている。そのデパートは、現在も健在で実家滞在中はよく行くが、もうとっくの昔に天体望遠鏡売り場はなくなってしまった。しかし当時は天体望遠鏡売り場もあれば、おもちゃ売り場もあった。
 強力な機材を得てからというもの、天体観測や天体撮影に夢中になり、中学校で同好のなかまを何人か得ると、彼らを誘って我が家で泊まりがけの天体観測会を何度か開催。結局、天体写真の腕は大して上がらなかったが、天文ガイドは、そのワクワク感を作り出してくれる中心的な存在であったことは間違いない。同じ誠文堂新光社が刊行する天文関係書籍も多数買いそろえたものだ(今もほとんどを所有)。

 そんな頃、同誌の「売ります買いますコーナー」で、過去4年分バックナンバーが売りに出ているのを見つけた。これは何としてもほしい。お年玉やおこづかいを貯めたお金で買いたいと思い、同世代の男性出品者にハガキで連絡。しばらくすると私に売ってくれるという返信を頂き、現金書留でお金を送った。
 当時は宅急便もなく、広島駅前の郵便局止めで送ってもらい、母と一緒に郵便局に荷物を取りに行った記憶がある。そのため所有しているバックナンバーで一番古いのは、さらに古い号からあるが、一部を除き、数年前に処分してしまった。
 だが、この売買の話しはこれで終わらない。不思議な縁というものはあるもので、この時の出品者の人とは、天文ガイドを通じて知り合い、一度だけ売買し、購入後も手紙のやりとりを何度かしたのだが、さらに40年後の今に至るまで、年賀状のやりとりだけはずっと続いている。先方も欠かさずに送ってくださるし、私も欠かしたことは一度もない。首都圏にお住まいなので会おうと思えば会える距離だが、お会いしたことは一度もない。こんなことって珍しいと思う。なぜかと聞かれても答えはない。やはり不思議な縁というしかないだろう。いつか機会があればお会いするのもいいし、どちらにしても年賀状の交流は死ぬまで続けたいと思っている。
 天文ガイド編集部の人も、さすがに天文ガイドを通じて、こんな交流が40年も続いていると知ったら、さぞかし驚かれるに違いない。



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